逆上がり
いつもの散歩の途中に有る公園で 子供たちが鉄棒で遊んでいました
逆上がりの練習をしている様で 一人の子が出来ないようでした
そこでその様子を眺めながらの妄想ですw
僕の名前はケンと言うんだ
今日 膝を擦りむいちゃったんだ
学校で鉄棒の逆上がりの授業があったんだけど出来なかったんだよ
先生が「出来なかった子はもっと練習しましょうね」って
だから 帰り路 公園の鉄棒で練習したんだ
でも・・・出来なかった・・・
最後に勢い余って膝から落ちてしまい 擦りむいちゃんだ
でも痛くなかったよ 擦りむいたところを「痛くない 痛くない」って言いながら手でパンパンと叩いたんだ そしたら痛くなかったよ
お母さん 「ただいま~」
僕 「お帰り~」
お母さん 「ただいま あらどうしたの 怪我をしてるじゃないの」
僕 「うん 鉄棒から落ちちゃった」
お母さん 「まあまあ お薬を付けておきましょ」
お仕事から帰って来てすぐの お母さんの手が冷たくて気持ちよかったよ
お母さん 「明日 お休みだから一緒に公園へ行って練習しようね」
僕 「うん!」
えい!・・・ えい!・・・
僕 「出来ないよぉ・・・」
お母さん 「じゃぁ お尻を押してあげる」
えい!・・・ えい!・・・
僕 「お母さんじゃだめだよ!」
お母さん 「ごめんね 先に帰ってご飯の用意をしてくるね」
しまった!お母さん悲しそうな顔をしていたんだ・・・
その夜 知らないおじさんの夢を見たんだ
おじさん 「あした公園へ来るんだぞ 手伝ってやるから」
僕 「えっ誰?」
あくる日公園へ行くとおじさんは居なかった・・・夢だもんな・・・
でも 練習しようと えい! えい!
おじさん 「もっと力を抜いて」
えっ おじさんが傍で笑っている!
僕 「おじさん おはよう」
おじさん 「おはよう さあ練習しようか」
僕 「うん!」
えい! えい!
おじさん 「お尻を押すぞ」
えい! 僕は鉄棒の上にいたんだ!
おじさん 「そら出来た」
僕 「でもおじさんが押してくれたからだよ」
おじさん 「ケン お空を見てごらん 広いだろ えい!と足を蹴りながら
お空を見るんだよ ほら雲さんも小鳥さんも応援してくれてるよ」
僕 「うん!なんだか出来るように思う!」
えい!
おじさん 「出来たじゃないか!」
僕 「でもおじさんが押してくれたからだよ」
えい! えい!
僕 「ねえ おじさん・・・ あれ?」
そこにおじさんが居なかったんだ 今居たのに・・・
えい! えっ 出来た?
えい! 出来た!
えい! 出来る!
うわ~い出来るよ 出来るよ!
嬉しくてお母さんに早く言おうと走って帰ったんだ
僕 「お母さん!出来たよ!出来るようになったよ!」
お母さん 「まぁ 良かったじゃぁない!」
僕 「昨日はごめんね・・・」
お母さん 「えっ 何の事?」
僕 「うぅん いいんだ 何でもない・・・」
・・・お母さんが微笑んでいる 良かった・・・
僕はおじさんの事をお母さんに話したのね でもお母さんは微笑んでいるだけだったんだ
僕 「ねぇ お母さん おじさんって もしかして お父さん?」
お母さんは微笑んでいるだけだった