tomshannon’s diary

69歳の爺です、ストレス解消に素直に記したいと・・・

結婚しない男

f:id:tomshannon:20200130182531j:plain

 もう30年も前の話ですが、たまに一緒にお酒を飲む程度の友人がいた。

その友人と居酒屋に行ったとき、常に疑問に思っていた事を聞いてみた

 

俺 「よう なぜ嫁を貰わないんだ?」

友 「嫁かぁ いらないなぁ」

俺 「なんでなんだ?」

友 「いやぁ いらないな」

俺 「なんでだよ」

 

友 「実はな、昔彼女が居たんだ2年ほど付き合っていたんだ・・・

   その彼女がさぁ癌になっちゃってさぁ

   入院したんで、毎日のようにお見舞いに行ってたんだ

   彼女の好きな物や雑誌とか色々買ってさぁ 慰めていたんだけど 

   三か月くらいして亡くなったんだよね」

 

俺 「そうなんだ それでかぁ」

 

友 「あぁ・・・ 初七日が過ぎて四十九日くらいだったかな

   仕事が忙しくて帰るのが遅くなった日があったんだ

   いつも帰ると誰もいないけど『ただいま』って言ってるんだが

   その日も『ただいま』って言うとだなぁ・・・おかえり・・・

   って聞こえたような気がしたんだよ

   えっ と思い周りを見ると彼女が微笑んでいたんだ」

 

俺 「それって 幽霊?」

 

友 「わからん でもそうかもしれない そうだろうな・・・

   彼女がベッドに座ったんで 自分も横に座ったんだ

   するとねニコニコしながら・・・一緒に行こう 一緒に行こう・・・

   って呟いているんだ

   俺は戸惑ってしまって『それは・・・』って言葉を濁したんだけど 

   あの世やらへ一緒に行きたかったんだろう

   それで 寒気がしたもんだから『お茶を煎れるね』て台所に行こうと

   したんだその時・・一緒だよ 待ってるね・・って聞こえたんだよ

   お茶を煎れて戻ると居なかった・・・

   幽霊にお茶って 動揺してたんだろうなぁ」

 

俺 「そうか それで まだ彼女に義理立てしてるのか?」

 

友 「いや まだあるんだ・・・

   次の年の初盆にまた来たんだよ 彼女が

   その時も また呟いていたんだ

      ・・・一緒に行こう 一緒に行こう・・・って

   俺は彼女の事を忘れたわけではないけど 前向きに生きようって

   思っていたんだよね

   すると・・・いつまで待たせるの・・・って言うんだ

   そういえば 付き合ってる時に・・・結婚しよう・・・

   ってよく言ってた事を思い出したんだ

   答えようが無いので『それは・・・』ってしか言えなかったよ

   すると・・・シネ  シネ  シネ  シネ  シネ・・・

   って呟いてんだ それもニコニコしながらだよ

   怖くなって表へ飛び出して駅前まで走ったんだよね

   それで彼女の家に電話して起こった事を話すとね

   明日 こちらへ来てくれって言うもんだから行ったんだ

   行くと坊さんの様な人が居て お祓いの様な事をしてくれたんで

   その後は彼女は出てこなくなったよ

   なんかさぁ シネって 信じられなくなってさぁ」

 

俺 「そうかぁ・・・」

 

   その後 会話は続かなかった・・・

       今 彼は如何しているんだろう・・・

   f:id:tomshannon:20191118190152g:plain

       このブログに最初にUPしたお話です。

tomshannon.hatenablog.com

   f:id:tomshannon:20191118190152g:plain

tomshannon.hatenablog.com